教育学を学ぶことの楽しさ
令和7年度のはじめに当たり、教育学部教育学科で学ぶことの楽しさを皆さんにお伝えします。今回の記事は、教育学科学科長を務めております早石周平がお送りします。制作:あいな
※ゼミの学生による早石肖像画
私は30年前に大学の理学部生物学科に入学しました。生物学科では小学校、中学校、高等学校の理科の学びと連続し、発展的で専門性の高い学びを得ることができました。
教育学部教育学科での学びはどうでしょうか。皆さんが「教育学」と聞いて思い浮かべることは、学校の教室での学びでしょうか。そこではたくさんの教科を学んでいますが、「教育」にまつわる教科はないでしょう。教育学を学ぶことの楽しさは、これまでの学びを総合的に活かし、新しい視点を得られることです。
教育実践としての授業や学校行事などに参加してきた経験を教育学の学びにつなげるには、一人ひとりの「発想の転換」が必要です。例えば、自分が小学生だったとき、教室内外で展示された自分の作品を見たときの気持ちを思い出してみてください。目線を転換してみましょう。どんなふうに展示されていましたか? その時、担任の先生はどんな思いを込めて、その展示を行ったでしょうか。授業で黒板の前に立ってみんなの前で発表したときの気持ちを思い出してください。目線を転換してみましょう。どんな内容を発表しましたか? 先生はどのように児童の発表の手順を整えていたでしょうか。制作: よしはる
このように、教育学を学ぶことは他の学問領域に比べると、自分自身の経験に基づきながらも、別の立場の視点から常に考え続けることを特徴として挙げることができるでしょう。そのために、教育学科での学びは、いつも仲間との「対話」が大切になります。皆さん一人ひとりが、児童・生徒としての多様な経験をもっています。自分の視点を大切にしつつ、仲間の視点をたくさん取り入れることで、教師の目線に近づいていけるのではないでしょうか。制作:よしはる
※話すほどに深まる学びと理解
教育学にまつわる学びは、常に「人」を中心にした学びです。全年齢の人を対象とします。教育は生まれた瞬間から生涯を通じて、ずっと私たちに関わるからです。教育学を学び続けることは、同級生の仲間だけに留まらず、さまざまな立場、年代の人々との豊かな「対話」を続けることです。
理学部生物学科で学び、哺乳類、霊長類、人の暮らしと歴史を対象に研究してきた私にとって、教育学が人を総合的に考え、実践する学問であると聞かされたときに、深く納得しました。
大学で専門性を深めつつ、人に関して広く深く学びたいと考える方に、私は教育学科をお勧めします。教育学科は教員を養成する学科ですが、人への関心を多方面に広げる人を育てる学科でもあります。教育学科の教員、学生から人への関心を多方面に広げてきた私が、自信をもってお勧めします。
(本記事の3つのイラストは学科学生による作品です。著作物の保護にご配慮ください。)
【教育学部 教育学科】