「美術館見学」(教育学科主催)を行いました。
皆さんこんにちは。教育学科のなっつです。今回は、2025年2月7日(金)に教育学科主催で行われた美術館見学について紹介します。
私たちは東京都港区にある「荏原 畠山美術館」に行き、1月18日(土)~3月16日(日)開催の「開館記念展Ⅱ(破)琳派から近代洋画へ―数寄者と芸術パトロン 即翁、酒井億尋」の展示品の鑑賞を行いました。
【見学する美術館前で写真撮影】
この記念展では、畠山即翁が築いたコレクションの一つである琳派の作品や、即翁の甥である酒井億尋のコレクションが展示されています。そして、琳派から近代洋画までを、作品と愛蔵者、作家と支援者の関係に焦点をあてて解説しています。作品にまつわるエピソードはたいへん興味深く、鑑賞の奥深さを学ぶことができました。
「荏原 畠山美術館」は1964年に開館した美術館で、荏原製作所の創業者である畠山一清のコレクションを収蔵しており、国宝6点を含む書画、陶器などが展示されています。2024年11月にリニューアルオープンしました。
今回の鑑賞で印象に残った三つの作品を紹介します。一番印象に残った作品は、最初に展示されていた「扇面月兎画賛」(本阿弥光悦)です。この作品には、扇面の右側の金箔を月に見立てそれを見上げる兎が描かれています。月の中には、「袖上に誰故月は宿るぞと餘所に為しても人問へかし」という『新古今和歌集』巻第十二の藤原秀能の恋歌が散らし書きされています。月を見上げる兎という構図が、この恋歌と重なり、物寂しい印象を与えていると感じました。また、兎の背景色が青になっていることでより兎が強調され、兎と月に目が行くような構図になっているのではないかと思いました。
次に、紹介するのは「風神雷神図」(酒井抱一)です。こちらは一つの掛軸ではなく、二幅対(にふくつい)の掛軸になっています。個人的には風神と雷神はセットのような感覚がありましたが、ニ幅対になっていることで風神と雷神がそれぞれ独立しているという印象を受けました。縦長の紙にそれぞれ上下に描かれていることから、対比的に描かれている一方で、本紙以外の部分は統一されていることから一つの作品としてのまとまりを感じました。
最後に紹介するのは、「京都三條疎水畔」(山下新太郎)です。展示されていた作品の中では小さい絵画でしたが、京都ということもあり、見ているとどこか懐かしさを感じるような作品でした。水路と緑が描かれており、日常の風景をぐっと閉じ込めたような感じがしました。
紹介した三つの作品の他にも「後撰集和歌短冊」や「富士見業平図屏風」など文学関連の作品も多く展示されていました。琳派の作品はガラス越しでの鑑賞でしたが、照明の明るさが調節されており、ガラスに鑑賞者の姿が映ることがなく、とても展示が見やすかったです。また、酒井億尋コレクションの作品は広い展示室にあり、ポールパーテーション(案内・誘導のためのポール)がないことに驚きました。しかし、このような展示方法だからこそ、絵画の細かい部分をみることができたり、大きな作品の全体をみたりすることができたのだと思います。さらには、美術館の敷地に入ると庭園が広がっており、秋には紅葉を楽しむこともできます。本館の展示室は、梁が一本の木からつくられていて、一角には茶室があり、「和」を感じさせる空間となっています。このような雰囲気づくり、空間づくりへのこだわりも、来館者が作品鑑賞に没頭することができる理由の一つであると感じます。
私はこの見学を通して、作品そのものについて学ぶことに加え、実物を眼にすることの素晴らしさを感じ、作品を愛する方々との関係も含めた背景の奥深さを学びました。また来館者にそれらを効果的に感じてもらうための工夫の一端も知ることができました。4月12日(土)からは、「開館記念展Ⅲ(急)花ひらく茶と庭園文化―即翁と、二万坪松平不昧 夢の茶苑」が開催されます。興味のある方はぜひ行ってみてください。
【教育学部教育学科】