授業紹介(生化学実験②)
秋の到来を感じる今日この頃ですが、2年生の秋セメスターの生化学実験②の様子をご紹介します。
生化学実験②ではPCRによるコメの品種判別実験を行っています。
新型コロナウイルス感染症の検査方法としてPCRという言葉はよく耳にするようになったと思いますが、PCRは新型コロナウイルス感染症の検査だけではなく、様々な場面で活用されています。PCRは、生物の遺伝情報をもつDNAを複製して増幅させる(=増やす)方法で、食品の分析にも利用されています。本学の生化学実験②で実際に体験できますよ。
[講義の様子:学生のみなさんに「安全に楽しく実験を行おう」をモットーに実験を計画しています。]
写真はPCR装置の内部です。小さなプラスチックの容器にDNAとDNAポリメラーゼという酵素を入れてセットします。この中でDNAポリメラーゼがDNAを複製し、DNAが増えてコメの品種が判別できます。
[PCR装置の内部]
下の写真はPCR装置の表示部分です。PCRは設定温度約60℃~96℃と高温で反応させることが必要ですが、ヒト等のDNAポリメラーゼではこうした高温に耐えられず働きを失ってしまいます(同じ酵素でも、生物によって耐熱温度が異なります!)。そこで海底火山に生息する高度好熱菌からPCRに最適な耐熱性のDNAポリメラーゼが発見され、それを使用します。この発見はノーベル賞受賞につながりました。
[PCR装置の表示部:温度設定、見えるかな?]
PCRに使用するDNAをコメから抽出して精製を行います。写真は微量の液体を操作できるマイクロピペットと呼ばれる実験器具で、10μL(10 マイクロリットル;1 mLの100分の1の量)の酵素溶液を学生さんがはかりとっているところです。
生化学実験②では、一見難しそうに感じる実験でも、ひとつずつ丁寧に説明して学生に興味を持ってもらえるように工夫しています。これ以外にも食品中の蛍光たんぱく質の解析実験等、最新の実験テーマを数多く用意しています。
【家政学部 管理栄養学科】