学びの風景「道徳教育の理論と方法」―「問う」道徳授業を目指して―
本科目「道徳教育の理論と方法」(中島朋紀教授担当)は、小学校教員の教職(免許取得)を志望している学生たちにとっては必修科目です。初回の講義において、学生たちに「道徳とは?」と聞くと、かた苦しい、やっかい、難しい、押しつけがましいもの、戒めの時間などと面倒なイメージが先行してしまう学生たちの素直な反応が返ってきます。しかし、その反面、「道徳」は、人と関わることやまた人間として大切なもの、互いが生きる上ではなくてはならないもの、善く生きる上では大事なものという曖昧"me"(「自分」)の返答もあります。学生たちのこの反応こそが、本科目のねらいにも精通していることであり、問いに「答える」道徳授業から子どもが自ら「問う」道徳授業への契機を見出させるものと受けとめています。善い生き方・生活を追い求め、子どもが「問う」ことを生かした道徳授業をどのように構想するかを目指し、教師自身も「問う」勇気をもって教育的指導や授業実践に臨めるようになってほしいと期待し学修を進めています。
【受講学生たちからの質問】
なぜ道徳授業は大切なの?
「そもそも道徳は何をする時間か?」これは、目指す力(道徳教育・道徳科:道徳性の育成)が資質・能力で示されている他教科に比べてわかりにくい面もあり、学校現場の先生方にも意外と誤解があるのも事実です。ここをしっかりと子どもたちと共有できれば、道徳授業はぐんと充実していきます。
教材研究(読み物教材「雨のバス停留所で」文科省『私たちの道徳』3・4年)
教師も子どもと共に成長しよう!
学生たちから「道徳をうまく教えるコツは何ですか」とよく聞かれるのですが、私はいつも「教えるのをやめることです!」と答えています。教師も一緒に考え、時に悩んだり気づかされたり、教師も子どもと共に成長できるのが道徳授業のいちばん素敵なところです。「目の前の大切な子どもたちと、最高にワクワクする授業をつくっていってください!」と、エールを送っています。
教材研究に励む学生たち
財産としての授業実践!!
教材研究をしっかりと行っても、いざ授業実践に臨んでも、道徳科の授業では想定通りに進まないことも多いものです。それは失敗ではなく発見であると思っています。子どもは自分の想定よりももっと広い世界で生きている、もっと感性豊かに物事を受けとめようとしている、もっと深く考えることができるんだと、そういう喜びを感じます。授業後、子どもたちからの反応・エール!(もっと教材研究をしてね!もっとおもしろい授業を!)を基に授業を修正し改善し、次の授業への財産としてほしいと願っています。
教材研究に励む学生たち
【短期大学部 初等教育学科】