
源頼朝・義経、北条時宗、八幡さま・大仏さま、建長・円覚の禅の大寺、西田幾多郎・川端康成・小林秀雄、そして光り輝く湘南の海、800年の歴史と文化が醸し出す教育的雰囲気は、学生諸君に贈られた無言の財産です。
また、鎌倉は、グローバル化時代の一大拠点の東京、そして文明・文化の進取の気風著しい国際都市・横浜と適度な距離と関係を保ち、若々しい人々の落ち着いた勉学と安全な生活の圏域として、教育にこれほど相応しい場所もありません。
この鎌倉にある唯一の大学である鎌倉女子大学は、「感謝と奉仕に生きる人づくり」を教育の理念に掲げ、昭和18年、松本生太先生によって創設されました。また、創設者は、「国破れて何の学問か」といわれていた時代に、逸早く女子教育の必要性を説き、わが国の学校教育体系に短期大学を制度的に位置づけることに努力した創造的私学人でもありました。
そして、今、ここに集まる教職員は、この創造的私学人のDNAを受け継ぎ、この変化に富んだ21世紀にあって、幼稚部から大学院までの創造的な教育活動と学校経営に取り組んでいます。
さて、大学で学ぶ意義は、何といっても社会という大海原を渡っていくことのできる生活のすべを獲得することでありましょう。即ち、企業人としての、管理栄養士としての、学校教育職員としての、保育士としての専門的な知識や技術を学び取るためにこそ、みなさんは、高等教育の門をたたこうとしているのだと思います。社会は、善き専門家・善き職業人を必要としています。
しかし、大学で学ぶには、その上に見出さなくてはならない大切な課題があります。それは、そのように習得した生活のすべを、一体何のために役立てようとする専門家であるのかということであります。何を人生の目途とし、何のために生きようとする職業人であるかということであります。
それを考えるためには、学生は、知識や技術を獲得するだけで満足するのではなく、自分自身の教養を磨かなくてはなりません。教養とは、単なる博学多識や知的アクセサリーといったものではありません。それは、自らが習得した知識や技術を過つことなく使いこなす道理の感覚、あるいは品位ある知性のことをいっているのです。
鎌倉女子大学は、生産と消費が瞬く間に繰り返される現代にあって、自分自身を見失うことなく、自らが培った知識と技術をもって、他者のために生きることに生きがいを見出すことのできる、希望と活力に満ちた卒業生を世に送り出したいと願っています。







